札幌高等裁判所 昭和26(う)122 高裁判例
主 文
本件控訴はいづれもこれを棄却する。
理 由
被告人両名の弁護人渡辺七郎の控訴趣意は別紙記載のとおりである。
<要旨>控訴趣意の各第一点の事実誤認の論旨に対して判断するに、原判決認定の
第一の横領の事実については、原</要旨>判決挙示の証拠を検討すると、所論の通り
被告人Aは被告人Bの懇請を却けかねてA保管中の金員をBに交付したという事情
はこれを認めることができるのである。しかしながら右のような事情は結局AがB
からの申出に応じて両名意思相通じたことに帰着するのであつて、これに基いてA
の業務上保管中の金員をBに交付することは、刑法第六十条の解釈上両名共謀によ
る業務上横領罪たるを免れないのである。所論は右法条の解釈につき原審及び当審
と異る立場に立つものであつて賛成できない。
次に控訴趣意の各第二点について調査するに、一件記録に徴するに所論のような
諸事情を考慮に容れても原判決の量刑は重きに過ぎるとは信ぜられないのである。
よつて本件控訴はいづれも理由がないから刑事訴訟法第三百九十六条によりこれ
を棄却すべきものとし、主文の通り判決する。
(裁判長判事 竹村義徹 判事 西田賢次郎 判事 河野力)